あなたがいるから

ブログが５周年を迎えためでたい今宵、
「シパダン旅日記」をお休みして、与太記事を書こうと思う。
このタイミングならたぶん、“あなた”が間違って読みに来ることもないだろう。

５周年告知記事にも書いたように、私は５年前、闘病中だった。
生まれて初めて体内に入った抗がん剤は私のがん細胞にとてもよく効いて
見た目にわかるほど膨らんでいたがん細胞は、どんどん小さくなっていった。
だけど同時に、正常細胞へのダメージも深刻で
手足の指先は黒ずみ、手指のしびれが強くて道具を使いこなせなくなり
足先もしびれて満足に歩くこともできなくなり、血管は劣化して破けやすくなり、
水も飲めないほどの悪心・嘔吐に悩まされ、
髪の毛は１本残らず全て抜けたし、まつ毛や眉毛も例外ではなかった。

そんな闘病生活を送っていると
まずは自分が生きていくことで精一杯で
身だしなみがどうとか言っている場合ではなくなってしまうのね。
私はウィッグの類を一切用意せず、
ニット帽とバンダナだけでハゲ頭をカバーしていたので
それがずれないように、とか、意識はそっちに集中。
サービス業なので、お客さんに対して辛そうな様を見せないようにとか
そういうところにも心を砕いていた。

闘病中に好きな人もできたけど
まぁ…相手は既婚者だったから実るわけもないし
そもそも自分の女性性がどうとか考えるだけのゆとりもなかった。
それでもそのときの好きな人の存在は
私に計り知れないほどのいろいろなものを与えてくれたし
病院を替わってしまった今、もはや会う術すらないけれど
彼には変わらず感謝し続けている。 

そして今、私には、好きな人がいる。
出会って突然、理由もわからずいきなり好きになってしまい、
ゆる～くアプローチしながら１年近く片思いしていた。
根拠レスな「無敵の香り」に導かれて、ね。

このブログにも何回か書いたけど
独身の男の子を好きになるのはその時点で実に９年ぶり。
正しい恋愛の仕方なんて忘却の彼方、
しかも闘病生活後ですでに女性性の欠片もない。
それはそれは右往左往の日々だった。

たぶんもう、恋愛なんてしないなぁ。
結婚願望なんて、別になくなっちゃったし。
マンションまで購入して、「おひとりさま」道への準備万端。
そんな中現れた眩しいくらいの彼。
棲んでいる世界は違うし、どう見てもモテそうだし。

だけど「無敵の香り」は私を惹きつけて放さない。
そこで初めて、私は自分の足許を振り返るのだった。

彼には１年前、すでにきちんと気持ちを伝えて
そのときはっきりとフラれている。
私の中では多少の整理もついて先に進むはずだったのに
とあるメールで引き戻されてずるずると。

最初はアイドルを追いかけるような気分だったけど
時を重ねる毎に私の中の彼の姿は等身大に近付いて。
彼もひとりの普通の青年で
日々、悩んで腐って笑って泣いてで生きているんだなぁって。
好きな気持ちはますます強くなるばかり。

彼への片思いは、もうすぐまる２年を過ぎる。
私は病気をして忘れていた自分の「女性」「女の子」の部分を
ずいぶんと思い出させてもらった気がする。
髪をまっすぐに伸ばしたのも闘病後初めてのことだったし
ダイエットして新しいお洋服を買ってみたり。
それもワンピースを買うなんて、それこそ、
１１年前の、独身男子に恋していたとき以来。

人生の楽しい部分が、彼のおかげでずいぶん増えたと思う。
片思いだから、いろいろ思うようにならなくて
人知れず泣いた夜もたくさんあるけれど
ただただ抗がん剤と溶け合って
ボロボロになって流されていたあの夜より１億倍マシ。

だって私は、今日も生きてる。
今日もあなたを大好き。

いっぱい感謝しているんだ。
ここまでの２年の道のりはきっと
私がほんとうの意味での本来の私に戻るためのもの。
冷たくておっかなくて、でも優しくて可愛い彼。
あなたがいるから、今の私がある。
あなたがいるから、今の私は輝いている。

あなたがいなくても私は充分幸せだけど
あなたがいてくれたら、私はもっと幸せ。
今も香る「無敵の香り」、この香り。

いつの日か、恩返しができたらいい。
あなたから受け取ったいろんなものを
今度は私が倍返しできたなら。

そしたら私は、もっともっと幸せ。
あなたは、どうかな？

コメント 3

tomokoさん、nice! ありがとうございました♪
by ねいびー (2010-05-05 23:17) 

うーん。nice!やめとく。「恩返し」ってちょっと違う気がする。上手く言えなくてゴメン。
by keisuke (2010-05-06 22:13) 

keisukeさん、ありがとうございます。
「恩返し」、違いますか？ニュアンス的なズレかしら。
私は彼からいろいろもらうばっかりだから
何かその代わりに彼のお役に立てることはないのかなって
そんなふうに考えています。
感謝の気持ちを直接伝える機会があれば、それでいいのかもですが。
by ねいびー (2010-05-06 22:26)